薬学類長より

 金沢大学医学展2014の開催にあたり、お越し頂きました市民の皆様に心から歓迎の意を表します。
 2006年(平成18年)に我が国の薬剤師教育は大きく変わり薬剤師免許を取得する ための薬剤師国家試験受験資格を得るためには、それまでの4年間から医師と同じ6年間の大学教育を受けることが義務づけされました。これは、過去に繰り返された様々な薬害等の反省から、お薬を市民の皆様が安心して使用できるために薬の専門家である薬剤師は、しっかり市民を守り、健康の維持、増進の手助けをするため様々な学問を修めたプロフェッショナルであることが求められることになったためです。そして、金沢大学ではそれまでの4年制のみから、薬剤師の国家受験資格が取得できる薬学類(6年制)と生命科学領域の研究者などを育てる創薬科学類(4年制)の二本立てになりました。その新制度での薬学類の3回目の卒業生が今春、社会に巣立ち、それに続く学生達が本学で研鑽を積んでおります。
 医療には多くの方々が関わっています。薬学関係では、薬を開発したり病気の原因を解明したりする基礎的な研究者から、病院や薬局の現場で患者さんのために、適切な調剤を行う薬剤師に加え、医師や他の医療従事者の方々と連携し、病棟や、患者さんのお宅で薬物治療が適切に行われているかを確認し、副作用を未然に防ぎ、患者さんの生活の質の向上を目指している薬剤師まで様々な役割を担うように変わってきています。医学、薬学、保健学を学び、やがて医療のそれぞれの場で大切な役割を担うことになる学生達が、在学中から力を合わせて、伝統ある医学展を企画、運営することは、学生の将来にも意義深いものになることが期待されます。市民の皆様には医学、薬学、保健学を真剣に学ぶ学生達により、暖かいご理解を賜るようにお願い申し上げます。
 最後に、医学展の開催にご協力いただく地域の方々や教職員の皆様に心から感謝申し上げ、医学展が、多くの市民の皆様に医療人を理解して頂ける機会になれば幸いです。

金沢大学薬学類長  松下 良