薬学類長 ご挨拶

 「令和」という新しい時代を迎えて初となる金沢大学医学展2019にご来場いただき、厚く御礼と歓迎を申し上げます。また、市民の皆様には日頃、本学医薬保健学域の教育・研究にご理解とご支援を賜り、心から感謝の意をお伝えしたいと思います。

 さて、「令和」の時代は超高齢社会で、健康寿命の延伸や医療費の問題など、克服すべき多くの課題があることもご承知の通りかと思います。幸い、医療分野の進歩は目覚ましく、iPS等の再生医療、がんゲノム医療に代表される個別化医療、新しいがん免疫療法などが期待される一方で、今なお有効な治療法や薬がない疾病も多くあり、それらの克服のために本学教員も学生とともに日夜研究に励んでいるところです。ご来場の皆様には、ぜひそのような雰囲気を肌で感じていただき、医学・薬学・保健学の世界を身近に捉える機会にしていただければ幸いです。

 薬学類は、薬剤師国家試験の受験資格が与えられる6年制課程で、5年次に薬局(NPOアカンサス薬局と市中調剤薬局)および病院(附属病院と市中病院)で計22週間の実務実習を行い、市民の皆様にも温かいご協力をいただいています。新しい「令和」の時代には薬剤師の役割や位置づけも変わり、対物(薬)から対人(患者さん)業務へのシフト、病気発症前の健康サポート、地域医療における医師、看護師等との多職種連携など、より患者さんと接する機会が増えて重要な役割を担うことになります。

 一方、薬学類は、卒業後に大学院博士課程で博士号を取得し、大学・研究所等で先端研究を行う者、薬系大学で次代の薬学教育を担う者、製薬企業等で新薬開発に携わる者、など多様な薬学イノベイティブ人材の養成も使命として多くの人材を輩出しており、このような人たちにも医療現場での実務実習は貴重なモチベーションになっています。この機会に、薬学類卒業生には、薬剤師に限らない多様なキャリアパスがあることを、市民の皆様にもぜひご理解いただければと思います。どうか薬学ブースにも足を運んで企画に参加していただき、学生たちと交流したりしていただければこの上ない喜びです。

金沢大学医薬保健学域薬学類長 松永 司